福島原発4号機 爆発の経緯(2)

 『東京電力は27日、福島第1原発4号機にある換気用配管のフィルター部分の放射線量を計測したところ、3号機側から放射性物質を含む気体が4号機側に逆流したとみられる痕跡が見つかったと発表した。』・・・①

 『東電によると、25日にフィルター表面の放射線量を計測したところ、3号機側が毎時約6・7ミリシーベルトと高く、4号機側は毎時約0・1ミリシーベルト程度だった。東電は放射性物質を含んだ気体が、3号機から4号機側に流れた証拠としている。』・・・①


 東京電力は、5月15日の発表でも、4号機の爆発は水素爆発の可能性が高く、その水素は3号機の非常用ガス処理系から排出された水素ガスが、3、4号機で共用している排気筒から4号機の非常用ガス処理系を経由(逆流)して4号機の原子炉建屋に流入したものと説明している。今回の発表は、その裏づけという位置づけになるわけだが、かなり疑わしい。あえて言えば、非常用ガス処理系からの水素ガスの流入はほとんどなかった、ということを証明したのではないかとも言えると思う。

 なぜ非常用ガス処理系からの逆流が考えにくいのかというと、非常用ガス処理系にはバルブが設置されているが通常は閉じられていて、外部と内部は遮断されている。4号機の場合これがオープンされているはずがない。仮に地震の揺れで非常用ガス処理系のバルブより排気筒側で損傷が発生していたとしても、原子炉建屋は密閉構造であって、その一方共通排気筒は当然大気に対して開放端をを有しているので、3号機側からの排気は4号機建屋ではなく共通排気筒の開放端へ向かうと考えるのが自然である。などが逆流説を難しくしているところだ。


 では逆流が全くありえないのかというと、実はそうでもない。まず前提として、非常用ガス処理系のバルブが開いているか、バルブより排気筒側でかつ原子炉建屋内の配管で損傷が生じていて、気体の流入流出が可能な状態になっていることが必要になる。そして原子炉建屋の気密性が保持されていることも必要だ。この場合には共通排気筒の開放端の大気圧の変動の応じて、共通排気塔内の気体が4号機の原子炉建屋に流入する可能性が十分ある。大気圧が経時的に高まる状況では、排気筒側から4号機建屋に気体が流入し、その反対では4号機建屋から流出するということだ。

 3号機の格納容器ベントが開始されたのが3月13日の9時20分で、4号機の爆発が3月15日の6時14分頃(推定)であるから、その間の気圧の変動はどうだったのかということになる。水素爆発の条件は、空気との容積混合比で水素が4.1%から74.2%であるから、1000ヘクトパスカルに対して50ヘクトパスカル程度の大気圧の上昇(累計で)があれば、排気塔中の気体がほぼ100%水素ガスであった場合には、原子炉建屋内に水素爆発の条件を満たす量の水素が取り込まれる可能性がある。

 大気圧以外にも、建屋内の気温の上下によっても共通排気筒と原子炉建屋の間で気体の流入流出が発生する。建屋内の気温の15度程度(累計で)の低下と、1000ヘクトパスカルに対して50ヘクトパスカルの大気圧上昇はほぼ同等の結果をもたらす。

 つまり流入の可能性はあるが、バルブが開いていること、あるいは配管が損傷していることという、ほとんど可能性のないことが前提になっているため、流入の可能性を否定することになっているという状況だ。東京電力は、4号機の非常用ガス処理系の、バルブや配管の損傷について情報を提供する必要があるのは論を待たない。


4号機の爆発、3号機から水素流入か フィルターに逆流の痕跡 2011.8.27 21:31 msn産経ニュース・・・①

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福島原発 汚染水処理 3種類 

 福島原発の放射性物質を含んだ水の処理装置が3種類となった。

 アレバ社のものと、キュリオン社のものと、東芝のものだ。


 アレバのものは共沈処理によるもので、放射性物質の濃度を1/10,000から1/1,000程度まで低下させることが出来るものということだった。実働させてみると、福島第一原発の環境では1/400程度以下まで低下。


 キュリオンのものは、油分・テクネチウムを除去する吸着塔、セシウムを除去する吸着塔、ヨウ素を除去する吸着塔を組み合わせたもので、放射性物質の濃度を1/1,000程度まで低下させることが出来るものということだった。実働させてみると、塩分を含まず低濃度の放射線物質を含む水の場合は1/1,000程度、塩分を含み高濃度の放射線物質を含む水の場合は1/50程度まで低下。


 東芝のものは、セシウム吸着タンクを7基シリーズに接続したもので、セシウム濃度を1/1,000,000まで低下させることが出来るものということだった。実働させてみると、福島第一原発の環境では1/50,000程度まで低下。


 東電の当初の計画では、放射性物質の濃度を1/10,000まで低下させることを目的としていたので、東芝のものは単独で、セシウム限定ではあるが、目標値を達成したことになる。


 東芝のものが放射性物質の除去率では非常に優れているのがわかるが、除去率が良ければいいというものなのだろうか。


 東芝のものとキュリオン・アレバのものには大きな相違がある。

 アレバ・キュリオンのものは両方とも、除去した放射性物質を最終的に処分するまでのプロセスの一部である「放射性物質を含んだ水から放射性物質を取り出す工程」を福島に持ち込んだんだもの。

 それに対して、東芝のものは「放射性物質を含んだ水から放射性物質を除去し、低濃度の放射線物質を含んだ水を供用する装置」であって、除去した(取り出した)放射性物質の最終的に処分するプロセスなどは考慮されていないものだということだ。


 三つとも似たようなものに見えるが、東芝のものと、アレバ・キュリオンのものは意図するところがまったく異なるというのが現実だ。


 なぜ東芝のもののような考えの装置が登場することになったのか。その答えは、東電の発表している事故処理のロードマップ(いわゆる報道上での工程表)にある。

 4月17日に発表された最初のものでは、汚染水に含まれている放射性物質の扱いについては、帯留水の項で「廃スラッジ等の保管/管理」と記載されているだけである。「保管」以後の件については、6月17日の改訂版で「廃スラッジ等の処理」として「帯留水」の「中長期的課題」の項に初めて記載が出現する。これは、あくまで、「課題」であるからはっきり言ってしまえば「何も決まってないし、何も考えておりません」ということだ。

 ということで、後先のことは考えず、単純に「セシウムを除去に専念、それから先のことはまた別途考えましょう。」的な「Simple何たら・・・」のサリーさんの登場となるわけだ。

 それに対して、アレバ・キュリオンのシステムは、「廃スラッジ等の処理」についてその最終処分まで見据えたものということになる。


 この落差を考えると、日本人には原発を運営する資格がない、というよりも「資質に欠ける」というべきだろう。福島第一原発の事故を「人災だ」という向きもあるようだが、それが「資質に問題あり」という意味であるなら全否定というわけにはいかないだろう。つまり「日本人ゆえの災害」だという意味なら否定しがたいものがあるということだ。情けないといえば情けないが、これも現実ということだろう。
 

原発 廃止

 自国の原発を廃止すれば、それで問題なしといえるのか?


 ドイツが原発廃止の方向性を打ち出したが、それだけでドイツの原発問題が解消されるとは思えない。

 ドイツは原発保有国に囲まれており、なかでもフランスはもっとも強硬な原発推進国だから、原子力発電を放棄するとは思えない。

 ヨーロッパにはドイツ、フランス以外にも原発保有国が多数存在する。イギリス、スペイン、ベルギー、スウェーデン、フィンランド、スイス、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、ウクライナ、ルーマニア、ブルガリア、ロシアと原発保有国は枚挙に暇がない。このうちドイツと国境を接しているのは、フランス、スイス、ベルギー、チェコ、海を隔ててイギリス、スウェーデンということになる。

 これらの原発保有国が原発を廃止しない限り、いくらドイツが自国の原発を全廃したとしても、ドイツが放射能汚染にさらされる可能性からは逃れられないだろう。ドイツは経済的にしっかりした国だから、原発全廃の選択肢があるのだろうが、原発廃止をしたくても、経済上の問題で、出来ない国のほうが多いはずだ。

 ウクライナが1986年のチェルノブイリ原発4号機の事故後、残る3機の運転を継続し最後まで運転を続けた3号機を停止したのは2000年の11月だった。運転を継続する以外に選択肢がなかったのだ。現在でも立ち入り制限区域となっている、放射線量の多い場所にある3機の運転を継続せざるを得ない状況というのは非常に過酷だが、そういう現実もあるということだ。


 日本でも原発を廃止せよという意見がある。日本の原発を廃止すれば、それで放射能汚染の可能性を排除できるのだろうか。

 隣国の韓国はフランスにつぐ原発推進国のひとつだ。保有している原発を列記すると、

 古里原発 PWR型 4機、

 新古里原発 PWR型 2機、

 月城原発 CANDU型 4機、

 新月城原発 PWR型 2機、

 霊光原発 PWR型 6機、

 蔚珍原発 PWR型 6機、

 と多数あり、ほかにも建設中のもの、計画中のものがある。

 このうち霊光原発以外は、韓国の東海岸(日本海沿い)にあって、古里原発、月城原発から福岡までは250Km程度、松江までは330Km程度である。

 日本は偏西風帯に入っているので、韓国はおおむね風上に位置していることになる。つまり韓国の原発が事故を起こすと、海を渡って放射性物質が飛来してくる可能性を排除できない。


 事故を起こした福島原発が太平洋岸だったのは、ある意味ラッキーだった。これが柏崎や、大飯のように日本海側にある原発だったら、放射能汚染の程度は更に深刻なものになっただろう。

 停止すべき原発があるとすれば、それは浜岡原発などではなく、柏崎や大飯といった日本海側の原発だ。


 韓国はおそらく原発から手を引かないだろう。せめてもの救いは、韓国の原子力発電プラントが日本のそれよりも良い設計になっている(ように見える)ことだろう。グーグルマップで発電プラントの航空写真を見れば、日本の発電プラントよりもずっと洗練されたデザインになっていることがわかる。


 日本は原発を放棄できるほど豊かな国であるのか、放棄した後も豊かな国であり続けることが出来るのか考えてみる必要がある。新興国が原発の導入に積極的なのは、経済的に有利という側面があるからであり、選択肢が極めて限定的であるからだ、ということを忘れてはいけない。



より大きな地図で 韓国 原発 を表示

福島原発 汚染水処理 2ヶ月

 6月17日夜から本格稼動した福島第一原発の高濃度汚染水処理施設は、今日で稼動2ヶ月となった。これは、米キュリオン社製の吸着装置と、仏アレバ社製の共沈処理装置を組み合わせたものだが、不具合続出で8月9日までの稼働率は66%にとどまっている。運転開始以来処理した汚染水は約4万2千トンであるという。

 稼働率66%、処理した水量4万2千トンというのは、意外な好成績というべきだろう。もっとひどいことになるのではと考えていたが、やっつけ仕事としては合格点といえる。本当に、予定通りのレベルまで放射性物質の除去が出来ているのか、疑いたくなるほどの成績だ。


 8月16日には、この汚染水処理システムを停止して、新たに導入したセシウム吸着装置の試運転を開始し、順調なら18日にも本格運転を開始する予定だ。これは、米国のエンジニアリング会社ショー・グループが基本設計を行い、東芝とIHIが製造を担当したもので、吸着剤を装填したタンクを7基シリーズに接続し、放射線濃度を100万分の1以下に低下させるというものらしい。


 3月11日以来5ヶ月が既に経過しているが、状況はいっこうに改善してこない。原子炉内の核燃料にアクセスできる状態にまでなるのは、あと5年それとも10年ぐらい先になるのだろうか。それまで、原子炉の圧力容器や格納容器はその機能を維持できるのだろうか。


 少々旧聞になるが、6月16日にフランス政府が、アレバのCEOアンヌ・ローベルジョンが任期満了に伴い退任すると発表している。なんとなく時代の変わり目かという気がする。

アサヒ スーパードライ

 「アサヒスパードライは醤油味である」という話が出ていたので、記録しておく。

 元ねたは、「スコットランド引きこもり日記」のなかのこの記事

 わたしは、まったく飲酒はしないので、確かめようもないのだが、おそらく「しょうゆ味」なのだろうと思う。というのは、「スコットランド引きこもり日記」の書き手のご主人が英国人で、その英国人が「しょうゆ味」であると指摘し、その奥さんもほぼ同意しているからである。

 おそらく、日本人は醤油味に慣れすぎているため、醤油味を意識することが難しくなっているのではないだろうか。醤油味を知ってはいてもそれほど慣れ親しんでいない人、あるいは醤油味に抵抗があったり、嫌いであったりする人でないと気づかないということなのだろうと思う。

 しかしながら、一度指摘され、意識して味見すると、確かに醤油味であると認識できる程度の醤油味であるということなのだろう。


 asahi super dry の醸造用に選別された酵母が醤油味を生成する性質があったということなのだろう。ビール会社のプロがテイスティングを重ねた上で選別したわけであるから、当然「醤油味」または類似の味があることを認識した上での採用であることは間違いないだろう。醤油味だから売れるに違いないという読みが見事に的中したというわけだ。いわば調味料入りのビールなわけだから味が悪い分けないという判断なのだろう。


 さて、一度あることに気づいてしまうと、それまでとは違ってしょっちゅうそれに気づいてしまうという経験は誰にでもあるだろう。このアサヒスーパードライの醤油味の件も同様なことになる可能性が高い。一度醤油味を認識すると、それ以降は必ず醤油味を認識する可能性が高いということである。

 ビールはアルコール飲料だから、酔っ払ってしまえば微妙な味などわからないだろうが、素面のうちは醤油味。

 
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