AMD Ryzen™ Balanced Power Plan ?

 2017年4月28日に、AMDがChipset Drivers バージョン17.10の配布を始めた。

 その中には、AMD Ryzen™ Balanced Power Planというものが含まれている。RyzenのためにAMDが用意した電源プランというわけだが、どういう結果になるのか試してみた。


 使用した機器の構成
==========
AMD Ryzen 5 1500X
BIOSTAR B350GT3 BIOS B35AS413(5.12)
Crucial 2x4GB DDR4 2400MHz Memory
Zotac GT710 2GB DDR3
OCZ ARC100 240GB SSD
WDC WD10EZEX 1TB HDD
LG BH14NS48 Blue-ray Diskdrive
Rosewill Capstone-450 Powersupply 80PLUS GOLD
2xCase Fan
Windows10 64bit
PS/2 Keyboard
USB Mouse
1xDVI 1920x1080+1xHDMI 1920x1080 Display

Windows10はCreators Updateを実施済み。
==========


 AMD Ryzen™ Balanced Power Planがどのような性質なのか調べるために、CINEBENCH R15を実行してみた。

 比較のために、Windows10にあらかじめ用意されているバランスと高パフォーマンスの電源プランについても、同様な実験をしている。


(1)電源プランがバランスの場合。

 バランスプランのデフォルト設定は以下のようになっている。

dengen balance 1x

dengen balance 2-5x

dengen balance 4x

dengen balance 5x

dengen balance 6-5x


 CINEBENCH R15の実行結果を以下に示す。消費電力はPC全体のものでディスプレーは含まない。計測にはサンワサプライのワットチェッカーPlusを使用した。


OpenGL::99.6%::31.36fps::73~76ワット

CPU 8スレッド::816cb::94~96ワット
CPU 7スレッド::757cb::92~93ワット
CPU 6スレッド::685cb::87~89ワット
CPU 5スレッド::576cb::79~82ワット
CPU 4スレッド::462cb::77~81ワット
CPU 3スレッド::395cb::74~77ワット
CPU 2スレッド::265cb::64~72ワット
CPU 1スレッド::154cb::58~59ワット

アイドル::37~38ワット



(2)電源プランが高パフォーマンスの場合。


 バランスプランとの表面上の違いは以下の通りだ、

(イ)スリープ>次の時間が経過後スリープする

 「30分」が「なし」になる。

(ロ)PCI Express>リンク状態の電源管理

 「適切な省電力」が「オフ」になる。

(ハ)プロセッサの電源管理>最小のプロセッサの状態

 「5%」が「100%」になる。

(ニ)ディスプレイ>次の時間が経過後ディスプレイの電源を切る

 「10分」が「15分」になる。


 CINEBENCH R15の実行結果。

OpenGL::99.6%::31.52fps::70~73ワット

CPU 8スレッド::815cb::91~94ワット
CPU 7スレッド::759cb::89~90ワット
CPU 6スレッド::683cb::82~85ワット
CPU 5スレッド::599cb::76~82ワット
CPU 4スレッド::549cb::72~79ワット
CPU 3スレッド::437cb::67~69ワット
CPU 2スレッド::308cb::69~70ワット
CPU 1スレッド::157cb::56~57ワット

アイドル::42ワット

 バランスプランとの比較では、消費電力がアイドル時は5ワット程度増加し、CINEBENCHでは2から3ワット程度減少している。cb値では8、7、6、1スレッドでは同水準だが、5から2スレッドではスコアが上昇している。4スレッドでは462cb対549cbだから差は87だ。



(3)電源プランがAMD Ryzen™ Balanced Power Planの場合。


 バランスプランとの表面上の違いは以下の通りだ、

(イ)プロセッサの電源管理>最小のプロセッサの状態

 「5%」が「90%」になる。


 CINEBENCH R15の実行結果。

OpenGL::99.6%::31.38fps::74~77ワット

CPU 8スレッド::816cb::95~96ワット
CPU 7スレッド::758cb::92~94ワット
CPU 6スレッド::682cb::87~89ワット
CPU 5スレッド::600cb::78~86ワット
CPU 4スレッド::577cb::80~82ワット
CPU 3スレッド::437cb::71~73ワット
CPU 2スレッド::309cb::72~73ワット
CPU 1スレッド::157cb::59~60ワット

アイドル::41ワット

 バランスプランとの比較では、消費電力がアイドル時は4ワット程度増加し、CINEBENCHでは出入りはあるがほぼ同レベルだ。cb値では8、7、6、1スレッドでは同水準だが、5から2スレッドではスコアが上昇している。4スレッドでは462cb対577cbだから差は115だ。

 大雑把に言うと、消費電力はアイドルを除いてバランスプランと類似し、cb値については高パフォーマンスと類似している。



(4)電源プランが高パフォーマンスの改造版の場合。


 高パフォーマンスの電源プランを修正したものでも実験してみた。

 改造点は以下の通りだ。

(イ)プロセッサの電源管理>最小のプロセッサの状態

 「100%」を「5%」に変更。 


 CINEBENCH R15の実行結果。

OpenGL::99.6%::31.51fps::74~79ワット

CPU 8スレッド::813cb::95~97ワット
CPU 7スレッド::759cb::93~94ワット
CPU 6スレッド::685cb::88~89ワット
CPU 5スレッド::626cb::82~86ワット
CPU 4スレッド::572cb::79~83ワット
CPU 3スレッド::437cb::71~72ワット
CPU 2スレッド::308cb::72~74ワット
CPU 1スレッド::156cb::59~60ワット

アイドル::38ワット

 結果は、アイドル時の消費電力が41ワットから38ワットに減少している以外は、AMD Ryzen™ Balanced Power Planの場合とほぼ同じだ。



 バランスプランのcb値と、それ以外のcb値に、大きな差が出るのは何が原因なのだろうか?

 答えは次に示す画像の中にある。


denngen ryzen balance crop

 これはバランスプランで、CINEBENCH R15を4スレッドで実行したときのものだ。


denngen high performance crop

 これは高パフォーマンスプランで、CINEBENCH R15を4スレッドで実行したときのものだ。


 見ての通りだが、リソースアロケータのコアの割り付け方式が違うのだ。

 バランスプランの場合は、空いている論理コアの若いほうから順にスレッドを割り付けていると推測できる。

 高パフォーマンスプランの場合は、空いている物理コアがある場合は、そのいずれかにスレッドを割り付け、空いている物理コアがない場合でも、空いている論理コアがある場合には、そのいずれかにスレッドを割り当てるのだろう。

 4スレッドを3物理コアで実行するのと、4物理コアで実行するのでは差が開いて当然だということになる。



 先に、バランスプランと高パフォーマンスプランの表面上の違いを挙げておいたが、バランスプランの設定値を変更して、高パフォーマンスプランと見かけ上は同じもので実験しても、高パフォーマンスプランの場合のようにはならない。

 Windowsが利用者に提供している一般的な手段では、アクセスできないレベルの設定値の相違が、バランスプランと高パフォーマンスプランの間にはあると推測できる。

 これについては、昨日まで知らなかった。表に出ている設定値の違いだけと思っていたので、バランスプランを変更して使用していたのだ。

 Ryzenを購入しなかったら、おそらくずっと気付かないままだったろうから、1500Xを購入した価値はあったのだろう。

 この件については、Windows10とFXシリーズを組み合わせた場合でも実験してみたが、Ryzenの場合と同様な結果になることを確認した。

 FX-8320Eを使用したPCで実験したのだが、4スレッド時のスコアは、高パフォーマンスプランの場合で326cb、バランスプランの場合で314cbで差は大きくなかった。

 まがりなりにも物理8コアのFX-8320Eと、物理4コアのRyzen 5 1500Xの差ということだろう。



 長々と書いてきたが、使用感について書いておく。

 バランスプランより高パーフォーマンスプランのほうが若干速いような気がする。

 FX-8320Eと1500Xでは、FX-8320Eのほうが良好なのはほぼ確かだ。1500Xは妙に処理が遅い(応答が悪い)場合が出てくるのだ。逝ってしまったのかと疑うレベルのものが出てくるのだ。インタラクティブな処理にはいい選択ではないのかもしれない。

 これの原因が、1500Xなのか、B350GT3なのか、Windows10(Creators Update)なのかは判然としないのが、厄介なところだ。


 消費電力については、上出来と言っていいはずだ。



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tag : Ryzen

RYZEN 5 の4コア製品と6コア製品

 4月11日にRYZEN 5が発売されるが、これといった購入の理由ががなくて困っている。

 現在、FX-8320EとFX-6300を使用しているが、これといった問題がないので、RYZENを購入する必然性がないのだ。

 あえて理由を挙げれば、FXシリーズの消費電力が多いことだが、RYZENの購入で解体することになるPCのCPUはi5 4670でたぶんRYZENより消費電力は少ないだろう。


 購入するかどうかは別として、購入の検討で試算した数値だけは記録に残しておくことにした。


(1)RYZEN 5の価格

1600X::3.6/4.0GHz::6C/12T::16MB::33264円税込み
1600::3.2/3.6GHz::6C/12T::16MB::30024円税込み
1500X::3.5/3.7GHz::4C/8T::16MB::25704円税込み
1400::3.2/3.4GHz::4C/8T::8MB::22680円税込み


(2)性能上の違い

 1600Xと1600の違いは明瞭だ。TDPが95ワットと65ワットで、これが最大の違いだ。

 1500Xと1400はクロック以外これといった違いはない。L3キャッシュメモリーの量が違うが大きな問題とは思えない。

 微妙なのは、1600と1500Xの関係だ。1600のほうがコア数が多く、1500Xのほうがクロックが高いという関係だからだ。1600はよりマルチスレッド向きで、1500Xはそうではない。その代わりに、1500Xはコアクロックが高いので、シングルスレッドの処理能力では1600に勝る。要するに、使途によって選ぶということになる。


(3)1600と1500Xの違いの試算

 処理能力の指標としてコアクロックを使用する。

 動作中のコアのうち1コアだけがターボのクロックで動作し、他はベースクロックで動作する。

 コア数を超えるスレッドが同時に動作する場合の1コア当たりの処理能力は、コア数と同数のスレッドが動作した場合の処理能力をコア数で除した値とする。

 SMTによる処理能力の増加分は45%とする。

 システムのオーバーヘッドはないものとする。


1スレッド時の処理能力

 1600::3.6
 1500X::3.7

2スレッド時の処理能力

 1600::3.6+3.2=6.8
 1500X::3.7+3.5=7.2

3スレッド時の処理能力

 1600::3.6+2*3.2=10.0
 1500X::3.7+2*3.5=10.7

4スレッド時の処理能力

 1600::3.6+3*3.2=13.2
 1500X::3.7+3*3.5=14.2

5スレッド時の処理能力

 1600::3.6+4*3.2=16.4
 1500X::(1.45+3)*(14.2/4)=15.7

6スレッド時の処理能力

 1600::3.6+5*3.2=19.6
 1500X::(2*1.45+2)*(14.2/4)=17.3

7スレッド時の処理能力

 1600::(1.45+5)*(19.6/6)=21.0
 1500X::(3*1.45+1)*(14.2/4)=18.9

8スレッド時の処理能力

 1600::(2*1.45+4)*(19.6/6)=22.5
 1500X::(4*1.45)*(14.2/4)=20.5

10スレッド時の処理能力

 1600::(4*1.45+2)*(19.6/6)=25.4
 1500X::20.5

 注)1500Xの8スレッド超はタイムスライスによる並行動作になるので処理能力は8スレッド時の値で頭打ちになる。

12スレッド時の処理能力

 1600::(6*1.45)*(19.6/6)=28.4
 1500X::20.5


 大雑把な計算なのだが、実物でも似た傾向になるはずだ。4スレッドから5スレッド、8スレッドから9スレッドのところで差が拡大するのは、1500Xの物理コア数と論理コア数を超えるところだからだ。


 バッチ処理を専らにする場合は上記の数値をそのまま受け止めても大方問題はないと思うが、即時処理の場合は注意が必要だ、数ミリ秒、数十ミリ秒で、スレッド数が変化し、それが即時性に影響するからだ。

 即時処理の場合で、同時実行にかかわるスレッドの実行時間の振れが大きい場合には、4スレッド超であっても8スレッドぐらいまでなら、1500Xのほうが高速に処理を行う可能性もあるはずだ。


 先の話になるが、RAVEN RIDGEの4コア製品と、RYZENの4コア製品はどういう関係になるのだろうか。



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